スーツケアを徹底すればクリーニングは不要?【汚れの種類、ドライ・ウェットクリーニングの違い】
2016年11月30日更新
「スーツってクリーニングに出さなくちゃいけないの?」
「スーツをクリーニングしたら痛むからやめたほうがいいって聞いたけど…」
「日々の手入れしっかりしていればクリーニングはいらないって本当?」
「イタリア人はスーツのクリーニングしないって本気?」
といったように、スーツのケアを考えれば考えるほど、クリーニングをするべきなのかどうか悩んでしまいます。実際、日々のスーツケアを行えばクリーニングは必要ないという考え方もあります。スーツにクリーニングは必要なのでしょうか?不要なのでしょうか?
スーツにクリーニングは不要?
スーツの手入れがきちんとできていれば、スーツにクリーニングの必要はないとよく言われます。ブラッシングでスーツのホコリをかき出し、濡れタオルでスーツについた汗を拭きとればよいのです。
賛否両論はあるかと思いますが、スーツの手入れを徹底的に行えば、理論的にはスーツのクリーニングは不要となります。イシカワブラシさんとドット・テーラーさんも同じような見解です。
クリーニングをするとスーツが傷む理由
一般的に、スーツはウール(羊毛)で作られています。このウール(羊毛)には、天然の羊の油が含まれています。この油分がスーツの艶や光沢を生み出しており、ウールが持つ抗菌・消臭効果を持つ自浄作用の役割も担っています。
しかし、クリーニングに出すことによって、ウールに含まれている天然の油が取れてしまいます。クリーニングを出す回数が増えるほど、天然の油分が少なくなり、スーツの艶、光沢、自浄作用効果もなくなっていき、スーツの生地が傷みやすくなっていきます。
スーツにつく汚れの種類
スーツにつく汚れは大きく分けて3種類あります。不溶性の汚れ、水溶性の汚れ、油溶性の汚れです。
1. 不溶性の汚れ
泥や車の排気ガスなどホコリが不溶性の汚れです。不溶性の汚れを落とすには、ブラッシングを丁寧に行うことです。そのため、ブラッシングはスーツの手入れで、かなり重要なのです。
2. 水溶性の汚れ
汗、おしっこ、飲食物などの汚れが水溶性の汚れです。水溶性の汚れを落とすには、水洗いが必要です。しかし、濡れタオル・蒸しタオルで拭き取れば、匂いや汚れも取れます。日々の手入れで、匂いや汚れがどうしても落とせなくなった時に、水洗いクリーニングを行えばよいのです。
3. 油溶性の汚れ
皮脂、油脂などの汚れが油溶性の汚れです。ドレッシング、マヨネーズ、ボールペン、口紅なども油溶性の汚れとなります。この油溶性の汚れに対しては、ドライクリーニングで落とす必要があります。長袖のワイシャツを着るなどすれば、スーツに油脂汚れがつきにくくなります。
ドライクリーニングとウェットクリーニング
スーツのクリーニングにはドライクリーニングとウェットクリーニング(ドライクリーニングに向かない素材を水洗いするクリーニング)があります。特に指定をしなければ、スーツをクリーニングに出したら、ドライクリーニングとなることがほとんどです。
ドライクリーニングとは
ドライクリーニングは、水ではなく石油系の有機溶剤でスーツを洗浄します。油で洗うので、油系の汚れには強く、水溶系の汚れには弱いです。
一方、ウール天然の油分が取れてしまう、水溶性の汚れが取れないといったデメリットがあります。そのため、汗などの水溶性の汚れが気になる場合に、ドライクリーニングをしてもあまり意味がありません。そればかりか、水溶性の汚れは蓄積され、スーツの寿命はどんどん短くなっていきます。
ドライクリーニングが主流の理由
では、なぜスーツのクリーニングでドライクリーニングが主流なのでしょうか?それは、スーツの型崩れや縮みが起こりにくいというメリットがあるからです。ウール素材のスーツを水で洗うと、縮みやすく型崩れが起きます。そのため、クリーニング店のアイロンがけなどの仕上げ作業も大変ですし、技術も必要となりますが、ドライクリーニングであればパートでも対応ができます。
次に、ドライクリーニングはまとめてクリーニングを行うことができるので、コストが安くなります。悪いクリーニング店だと、どろどろに汚れた有機溶剤を使いまわしていることもあるので、他の衣類の汚れが移っている可能性があります…
これらの理由から、ドライクリーニングが主流となっています。そのため油溶性の汚れを落としたい場合を除いて、スーツにドライクリーニングを行うことは基本的におすすめしておりません。
ウェットクリーニングとは?
ウェットクリーニングは、その名の通り、水でスーツを洗います。汗、飲食物の汚れなどの水溶性の汚れを落とすのに有効です。しかし、型崩れが起きやすい、生地が縮みやすい、アイロンがけなどの仕上げ作業が大変でクリーニング代も高いといったデメリットがあります。
また、クリーニング業者の技術によって仕上がりレベルに大きな差が出るので、クリーニング業者選びも重要となります。料金は高めで、信頼できるクリーニング業者を選びましょう。
日々のケアが大事
基本は水溶性汚れを日々の手入れでケアすることで、ウェットクリーニングをしなくてもいいようにすることが重要です。日々のケアでどうしても対応できない水溶性の汚れや、飲み過ぎて吐いてしまったとき(ゲロ)に、ウェットクリーニングを検討しましょう。
スーツを着たらブラッシングで不溶性の汚れを落とし、汗などの水溶性汚れは濡れタオルで拭き取ります。すると、油溶性の汚れがつかない限りは、日々のスーツの手入れでクリーニングに出す必要性がないことがわかります(スーツの汚れの多くは汗など水溶性の汚れで、油溶性の汚れが付くことは少ないです)。日々の手入れでどうしても落とせない汚れやシミ、カビなどに対して、クリーニングを行えばよいのです。
ジョブインフォでも実験中
ジョブインフォでも、現在スーツのクリーニングを1回も出さなくいいのかという実験を行っている最中です。実験対象としては、ゼニアのトラベラーズとドーメルのアマデウス365で実験中です。ルールは以下です。
- 1日着たら2日は最低休ませるのが基本
- ハンガーは中野ハンガー
- 暑くても長袖を着用
- スーツを着用したら汗が付きやすい部分を中心に、お湯(約60℃)で絞った濡れタオルで汗の汚れを拭き取る
- 平野ブラシで着用前後にブラッシング
- シワには霧吹きや浴室で湿気を与え、スーツを陰干し
- 出張など時間がないときは消臭スプレー
2015年10月から開始していますが、今のところ臭い・汚れ・シワなど問題なくスーツを着用できています。
基本的には日々の手入れがきちんとできていればクリーニングに出す必要はありません。また、スーツの汚れの多くは汗などの水溶性の汚れなので、ドライクリーニングではなく、ウェットクリーニングを頼みましょう。油溶性の汚れを落としたい場合のみ、ドライクリーニングを選択するようにしましょう。
あわせて読みたい
- 豚毛?馬毛?スーツにおすすめな洋服ブラシの選び方【イシカワ・平野・KENT・江戸屋】
- 【就活向け】履歴書添削や面接対策までサポート!おすすめの就職エージェント
- 【転職向け】おすすめの転職サイトランキング